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「新卒の年の実践報告」 その2

二、A君のこと

四月九日に班づくりをしました。「男三人、女三人で好きな人と集まってつくる」というつくり方でした。A君は、なかよしの友だちがいないらしく、もう一人あまった子といっしょに三ばんになりました。いつまでたっても日記を書いてくれない子の一人でもありました。

四月の中旬に、「さんすうのびょうきしらべ」をしました。九九やたし算、ひき算のたしかめテストです。A君は九九をほとんど忘れていました。たし算、ひき算はできるけれど、確実ではありませんでした。書くことよりも、まずは算数の力をと思い、のこり勉強をはじめました。その時、学校はなんて忙しい所だろう思ったのですが、なんとか週に二回くらい、タイルを使って九九を練習しました。A君を含めて三人の子が主にのこりました。A君は、九九で、たとえば8×6がわからないとき、真剣な顔をして、額を机にくっつけるようにしてタイルを数えるのです。その目や、ぶつぶ言っている口を見ていると、私は心からこの子に学力をつけてあげたいと思いました。一年の時にした知能指数の偏差値は二十そこそこで「特殊学級に入れる対象」となる子だったのだけど、私は タイルを数えるA君が目にうかび、この子の智恵はおくれていないと信じることができました。そして、私のがんばりのバロメーターをA君に置こうと決めました。それから、A君は、わからなくても教えてもらえる、叱られないという安心感のためか、私が若いためか知らないけど、クラスの中でよく動くようになりました。図工の時間に絵の具バケツの水をこぼすと、とんでいくのはA君でした。
by chilinh | 2007-10-22 00:01 | 直美先生
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